教え子たちへ“あと一歩だけ、前に 進もう”

 日本語学校の仕事の最終日。4月から新しい仕事をするため、「修行に出てきますから〜」と。この学校には足掛け9年お世話になったか。途中、大学院が忙しい時(M1時代)、学生が減った時(ちょうどD進学の年)〜妊娠〜出産〜Nちゃん保育園入園まで、一昨年の乳がん治療中など年単位で休職させてもらっていたけど、居心地のいい職場だったこともあって、非常にさびしい。私の選択はよかったのか?とさえ思ってしまう。
 最後の授業ということで、最後の45分は好きなことに使わせてもらった。淡々と予定通りの授業をこなそうかなとも思ったのだけれど、やる予定だった読解教材をやりたいようにやるには90分近く必要で、でも今日は先週の期末試験のフィードバックで時間を取られるため、「90分」という時間は確保できないので、滅多にやらない日本の歌を紹介することにした。
 今のクラスは去年の1月にあいうえおから始めたクラスで、途中から入ってきた学生もいたけれど、3人の教師で組んでずっと教えてきた。長い人で1年3ヶ月、それ以外は1年間。ほとんどがあと1年で進学か帰国を考えなければいけない学生で、先週期末試験の後に面接した際にも、何というか“まだ本格的ではないけれども進学のことも考えて動かなければいけない”という不安を抱えているのを感じた。日本語も大分上達し、日本の生活にもアルバイトにも慣れた、今という時期。
 今だからこそ「私からみんなへのプレゼントだよ」と、『Progress』を。NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』のテーマソングだ。

Progress

Progress

 とにかく素敵な詩である。人生の応援歌だ。
 最後だという意識が邪魔してしまい、ついつい私が一方的に歌詞の解釈を話してしまった。今から思うと、普段の読解授業のように、学生からどんどん解釈を出してもらい、拾い上げ、つなげていく時間として使えたんじゃないか、なんて思ってしまうのだが・・・。曲を流している間、学生たちが歌詞を食い入るように見ている姿を見て、恥ずかしながら涙が出そうになった。いや、ほんと、いい歌詞だし、今のクラスの学生たちに、心から送りたいメッセージだし・・。学生たちからは、「いいプレゼントです」「紹介してくれてありがとう」という言葉をもらった。来年の卒業まで付き合うことができなくて、本当に残念なのだが、学生1人1人が自分の道を切り開いていくことを信じて、笑顔でバイバイ、と。

(略)
ずっと探していた 理想の自分って
もうちょっとカッコよかったけれど
ぼくが歩いてきた 日々と道のりを
ほんとは “ジブン”っていうらしい
(略)
ねぇ ぼくらがユメ見たのって
誰かと同じ色の未来じゃない
誰も知らない世界へ向かっていく勇気を
“ミライ”っていうらしい
(略)