第59回第二言語習得研究会(関東)開催のお知らせ

 来週土曜に、事務方をしている研究会が開かれる。この2週間程、授乳やら家事の合間にメール等のチェック・対応をしていた。でも、殆どが相方に負担を掛けてしまっていて、当日も私は欠席。
 今回は3つの発表で、普段より30分早く開始。最初の2つはお茶大の日本語教育関連で修士論文研究をまとめたもの(タイ・韓国のD1の院生)。もう一つは、大学で英語を教える先生の発表で、小学校の英語の必修化にも言及しながら日本の英語教育に関して議論したいというから、英語教育関係者が是非集まってくれたらと思う。

日   時: 10月21日(土)
開始時間: 1:30 (受付開始:1:00〜)
       ※※通常より開始時間が30分繰り上がっておりますので、ご注意ください

場   所: お茶の水女子大学文教2号館302教室
*大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg
   土曜のため、正門(東門)しか開いていません。正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。

*学内マップ;http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html
   正門(東門)から入って一番遠い11番の建物です。

【研究発表1】
JSLタイ語母語話者初級日本語学習者の『聞き返し』ストラテジー −発話意図と表現形式に注目して-」
テンヂャローン・モンルタイ(お茶の水女子大学人間文化研究科国際日本学専攻)

 本研究ではJSLタイ語母語話者初級日本語学習者を対象にし、学習者の「聞き返し」の使用実態と効率性、そして、それぞれの発話意図に適した表現形式について研究を行った。結果は初級学習者が聞き返しをする際、分からない言葉をそのまま反復する「エコー型」を多用している。しかし、「エコー型」は相手に発話意図が伝わり難いので、聞き返しの成功率が低かった。このことより、学習者は自分の発話意図に合わせて効果的な表現形式を使用しているとは言えない。そのため、学習者が「聞き返し」をうまく使用して会話をスムーズに進めるためには、どの発話意図の時にどの表現形式を使用すればより効率的なのかを教室で指導し、練習することが必要であると考えられる。
【研究発表2】
「日本大衆文化を扱った授業の受容度に関する韓国人学習者の意識」
朴志仙(お茶の水女子大学人間文化研究科国際日本学専攻)

 最近の韓国では、日本大衆文化の制度的な開放を機に、日本大衆文化を日本語教育と結びつけるといった試みや研究が行なわれるようになった。しかし、学習の主体となる学習者についての具体的な理解が不足している中、本研究では、韓国人学習者の日本大衆文化を扱った授業の受容度に関する認識の構造を明らかにすることを研究課題として設定した。
 韓国人日本語学習者131名を被験者として行った質問紙調査の結果、日本大衆文化を扱った授業の受容度は「効率不安」、「好意的な受容」、「消極的な受容」、「授業への要請」の4つの因子により説明できた。韓国人学習者は日本大衆文化に対し、有効な学習リソースとして日本語の授業においての活用を期待している一方、他方では既存の授業方式とは異なる性質のものとして認識し、学習への不安や従来の授業方式へのこだわりを見せていることが伺えた。
【研究発表3】
「大学の必須英語を教育するうえでの問題点」
天川由記子帝京大学

 帝京大学には、今年の4月1日に移籍したが、以前には北関東の小さな短期大学(専攻は、経済情報学科の単科短大)で教えていた。
 今回、関東の研究会で問題提起させていただきたいことは、いくら英語が苦手な学生ばかりが集まってきている短大とはいえ、短大生で、アルファベットがまともに書けない学生がいたという、驚愕すべき実態に遭遇し、そのことを当時の文部科学大臣に大臣懇談会で指摘すると、大臣は、まさか、信じられないと言ったが、後日それが事実なら、日本の教育上ゆゆしき事態と判断し、早速短大の授業を視察に来たということがあったということである。この事態をふまえて、小学校における英語の必修化にも触れて、政府の仕事に多少なりともかかわっている私としては、今後の日本の英語教育に対して、会員の先生方と忌憚のない意見交換を行い、参考にさせていただきたいと考えている。