幼年文学だとか、詩だとか

 先週末から今週に掛けて読了した本をメモ。瀬田貞二さんの『幼い子の文学 (中公新書 (563))』(中公新書)。この方、児童書好きの人には馴染みがあると思う。児童文学に関して「おはなし」した内容を、瀬田さんが死去後に“起こしながら、再構成した”もので、講演録のように話しかけるように書かれている。三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)
 私自身、子ども時代特に本好きではなかったし、これまでも文学論というものにも縁がなかったのだが、この本は面白く読めた。一つの作品を読み込むとこのような読み方ができるのか、などと。以前、読解(文章理解)の専門書を読んでいて「物語文法」というのを知った時も、今回の瀬田さんが訳された『三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)』を面白半分で物語文法で分析したことがあったが、それは分析手法であって、今回のは文学論。人間臭さがただよう、一人の読み手が深く深くかみしめた言葉で溢れていた。この「おはなし」は1976年から77年に掛けてのもので、扱っている作品群はそれ以前のものとなっているが、書かれている内容に関しては決して古くはないのだろう。私自身は「なぞなそ」や「童歌」「詩」について書かれていた章が特に面白く、丁度息子の音読用の素材集めをしている時でもあるので、この本の中で紹介されたいくつかの詩に付箋紙をつけながら、どんどん読み進めた。詩そのものに興味が持て始めたこともあって「これ、本当にいいでしょう」と紹介されると、「うん、いいねぇ」と思いながら読んでしまった。幼年文学・児童文学好きにお勧めの本です。新版 指輪物語〈1〉旅の仲間 上1 (評論社文庫)ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫) 
 瀬田貞二さんが翻訳した本として代表的なものは、C.S.ルイスの『ナルニア国物語』、トールキンの『ホビットの冒険』『指輪物語』などがある。私はどれも読んだことがないので、息子の成長とともに読んでいけたらいいなと思っている。