なんだか癖のある執筆者だった

 今朝布団の中でやっと読み終えたもの。1週間に新書1冊というスローな読書能力だ。まあ、基本的に専門書以外は朝晩時間があるときにって感じでしか読めないんだけど。

国語教科書の思想 (ちくま新書)

国語教科書の思想 (ちくま新書)

 最初の頃は「面白い!」と思いながら読んでいたのだが、段々とその主張の仕方(というより分析力?)に戸惑いを覚えた。国語教科書の編集委員も務めていたことがある(現在進行形?)立場から、選定された材料(小説とか詩とか)からどのような「思想」が読み取れるか、テキスト論から分析したもの(と著者は言う)。それぞれの出版社によって選んだ材料の傾向が違う、つまり何を学んでほしいかという立ち位置が違うことがこの本を通してわかり(実際親としては市で選ばれた教科書1種類しか目を通さないわけだし)ふむふむと思う反面、授業をデザインする際に「教師は料理人」となるわけだから必ずしも著者の言うような「道徳教育」が行われるとは限らないなあとも思ったり。ただ、選定する時点の「思想」はあるのかもしれないけど、現場(教室)はもっとダイナミズムなものが生まれる場所のはず。静的に捉えすぎかな、と。実際、日本語教師としてたくさんの教科書・読解材料を使ってきたが、そのテキスト「を」教えるのではなく、そのテキスト「で」教えるものだと思う。国語科の授業時間数が減っている中で小学校教師や国語科教師の腕に期待したい。また、後半に日本語で表現できる箇所でのカタカナ語使用が目立ち、私の親のようにカタカナ語に疎い人間は読者層の射程に入っていないのかなと思ったり。もう少し丁寧に執筆できたのじゃないかと。「あとがき」の書き方も、よく言えばエキサイティング!あっ、ほめ殺しです(苦笑)。岩○書店からはもう二度と出版しないと宣言しているのかなあ・・・。