意地でも論文を読んでみたり

 前日までにメールするのを忘れていた研究会への発表応募。自分の大学で11月に行われる研究会だが、やっとそこで修論研究を口頭発表することにした。朝、慌てて題目と要旨をメールした。
 そして、金曜からのドタバタで非常に疲れていたのだが、夜お風呂から出て、昨日食べそこなったおはぎを食べた後に、論文を読み始めた。CiNii(NII論文情報ナビゲータ)から数日前にダウンロードしてプリントアウトしていたもの。論文のタイトルは「協同問題解決型議論の学習効果」。日本人大学生同士の議論(話し合い)場面を対象にした研究だが、今私自身の今後の研究の方向性の参考になりそうだと思い、手にした。
 従来の協同作業や協同問題解決研究では、協同行為のある中で生じる諸現象の微視的分析、あるいは協同と単独との認知過程を比較するということが研究の中心だったということとで、次の課題として協同作業の学習効果(協同問題解決を体験することによって、何が習得され、後続の協同問題解決にどのようなかたちで生かされるか)を検証すること、それがこの論文の目的。
 私はこれらのことが書いている「問題と目的」節で「キラり♪」としてしまった。日本語教育では、微視的研究も不十分だし、まだ学習効果研究も十分ではないと思う。私が今やっているのは読解場面での微視的研究。そして、私はどちらかというと認知心理学での従来のアプローチで研究していて、この論文で書かれているこれらのことをウンウンと頷きながら読める。一方で日本語教育領域だと、実践レベルで協同(協働)学習が盛んに研究され、特に私の大学院では状況論的アプローチを勉強している人も多く、学内でも議論できるようにと私は両アプローチの勉強をしている(これ、楽しい作業なのだが結構大変でもある)。
 この論文は、情報統合型協同問題解決での方略が転移するかということで、学習効果を測ったもの。これらの方略は一般的なものと位置づけられるが、筆者らがいうには「各教科に特有なもの」があるという。そうすると、日本語学習者の読解ということを考えた場合、読解力を高めることが目的なのか、そうであるならば高めるためには何が必要とされるのか(知識や方略)を同定しないことには、次のステップに行けないというストーリーになる。認知心理学からの研究として非常に参考になったが、私がこの論文の最初の方を読んで参考になりそうだと簡単に思ってしまったこと(研究の方向性のあり方と枠組み)は、第二言語としての日本語学習(読解)研究に、本当に適用できるのかを見極めないといけないなあと感じた。まあ、いつもこの辺り、つまり第一言語・教科学習で研究されていることを第二言語として学んでいる第二言語学習にどのように適用あるいは応用できるのか、あるいは独自の方向性があるのかという点で非常に悩んでしまう。