痴漢に遭った・・・

 「何すんのよー!」
 ドスをきかせた太い声で、逃げていく男に怒鳴った。
 実家から戻り、入院準備のため買い物に出掛けたその帰り道。7時ごろでかなり暗くなっていた。車は結構通る道だったけど、歩道を歩く人は少なく、更にベビーカーを押していることで、体と腕の間にはスペースが空き、そこを後ろから狙われた。あと数日で胸を取る人間の胸を触るなんて!暗い夜道とはいえ、ベビーカーには小さな子どもがいることがわかるはずなのに、そんな無防備な母たる女性を狙うなんて!(どんな女性でも襲われる理由はないが!)
 私の怒鳴り声で、Nちゃんは目が覚めたみたい。
 スクーターで逃げた男が、また来るんじゃないかと後ろを見たり、「どんな女か」と確かめるために車道を走ってくるんじゃないか、結構その辺の人で自宅に舞い戻り自転車で知らぬ顔して私たち母子を追い抜きながら顔を確かめるんじゃないか・・・そんな妄想に襲われながら、自宅にたどり着く。一人で留守番をしていたS吾に「今さっき痴漢に遭った」と伝えたら「痴漢って?」と・・・。
 私にとっては貴重な1日、そして時間。明日を有意義に過ごすために、今日中にできることをしておこうと、遅い時間帯になってしまったけどNちゃんだけを連れて買い物に出掛けたのに。痴漢にとっては、そんな私の人生なんて全く関係ないのでしょうけど・・・禿頭で出歩いていればそういう目にも遭わなかったんじゃないかと、無駄なことを考えたり・・・。あー、癪に障る!
 夜、シャワーを浴びている時、Nちゃんが石鹸をつけた小さな手で「おっぺ(=おっぱい)」と洗ってくれましたよ。清らかになったかしら、私の胸。