サギサワさんの話

私の話 (河出文庫)

私の話 (河出文庫)

 大学生協にやっと届いて、今日取りに行った。単行本はもちろん入手済みだが(発売と同時に買う)、まだ未読。9月は『ありがとう。 (角川文庫)』を読み終え、『ウェルカム・ホーム!』の中の1つの話が漫画になった『ウェルカム・ホーム!―児島律子』も読んだ。「家族って何?」「フツーって?」がテーマ。去年の6月に見た劇『ウェルカム・ホーム!』について、web日記から感想をコピペしておこう。

鷺沢萠プロデュース『ウェルカム・ホーム!』 (2004.6.21記)

 実は昨日の夜、夫に文句言われながら、一人観劇してきた。GW辺りに予約を入れていたものだ。

 4月に亡くなった鷺沢萠さんがプロデュースしていた劇『ウェルカム・ホーム!』の千秋楽。

血がつながらなくったって「家族」だよ、
「おかえりなさい」って言ってもらえる「我が家」だよ。

 その思いが一杯詰まった作品だった。土曜の夜にかなり久しぶりに小説を枕元に。やっぱり原作を読んでいないで見るのはなあ、という気持ち。あまり読めず寝入ってしまったが、劇場に行くまでの電車の中、劇場近くのイタリアン・カフェで一気に読み終えた。さすが「濃い」。鷺沢さんの手に掛かると、家族モノも恋愛モノも「濃いぃ」の一言。やっぱり大好きだぁ。劇自体は原作とは違うストーリーだが、根底に流れるものは同じ。
 劇ではさすが鷺沢さん、「家族」だと言う「家族」には日本人が一人だけ。「お父さん」は横浜生まれの中国人。「お母さん(オンマ)」は韓国人の“男性”(性同一性障害)。「お兄ちゃん」は南米出身の日系人日本語学校の学生。不法滞在者在留資格認定申請中。国の政変で“本当の”家族は亡くなっている。同居している「従兄」は東南アジア出身。劇中には韓国語、スペイン語のセリフも。その中の唯一の日本人女性・映子とこれから家族になろうとしている婚約者も“普通でありたい”とがんばってきた、帰化したインドシナ難民の息子という設定。で、結婚を前に気付く。「娘」である映子は「オンマ」に定住権を与えるために「オンマ」と婚姻届を出していることを。「オンマ」は長男。韓国に“女性”としては帰れない、生きられない。この「家族」と生きるために。

「フツー」って何?それがどうしたの?どうして「フツー」じゃないといけないの?

 今までも鷺沢作品の根底に脈々と流れてきたテーマと言ってもいい。そして「誰だって大変なんだ」ってことも。
 今朝のワイドショーで「冬ソナ」の“もう一人の”ヨン様(サンヒョク役)が来日した模様が流れていた。今は「韓流」という流行で韓国や韓国語ブームが起きているけど、一時前は鷺沢さんの小説やエッセーを読んで韓国に興味を持った人、また渡韓した人も少なからずいたはず。その「韓流」にはまっている人には是非鷺沢さんの作品を読んでもらいたい。・・・でも受け入れられない人も多いだろうなぁ。「冬ソナ」ではないし・・・、貴公子が出てくるわけでもないし・・・。でも私にとって韓国は鷺沢さん的視点からしか見られないな。