第二言語習得研究会のご案内

 来週の土曜日に私が事務をやっている研究会が行われます。今回は発表2つとも「リーディング」関係です。今回は、日本語教育関係者だけでなく、英語教育の現場にいらっしゃる方、研究をしている方にも是非来ていただきたいと思っています。前半の発表の石井さんは、ゼミ&勉強会の仲間です。第二言語学習者にとっての「読解」の困難点を指摘と、それを克服するためのシラバス・教育法へ新たな提案をしてくれると思います。後半の発表の水野先生には今年度研究会の世話人に名を連ねていただくことにもなりました。10月の発表に続いて、実践・研究への熱い思いが伝わる発表だと今から楽しみにしています。

第57回第二言語習得研究会(関東)

日  時: 4月22日(土)
開始時間: 2:00 (受付開始:1:30〜)
場  所: お茶の水女子大学文教2号館302教室
 ≪ご協力願い≫
今年度初回の研究会ですので、年会費2,000円をいただきます。発表開始に受付が混雑することが見込まれますので、早めのお越しをお願いします。

*大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg
土曜のため、正門(東門)しか開いていません。正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。

*学内マップ;http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html
正門(東門)から入って一番遠い11番の建物です。


【研究発表1】

「中級レベルのJSL読解教育への一提案 ―coherent relation把握能力育成のための学習項目と練習の視点から―」 
石井 怜子 (お茶の水女子大学 大学院生)

 JSLにおける読解教育は読み教材を使った言語知識の教育に終始しており、また読解Q&Aは読解能力の育成にはならないとの批判と自省が繰り返されてきた。しかし今日まで、L2読解教育では「何を」「どのように」教育するのかは、体系的に明らかにされていない。
 L1・L2ともに、結束的関係(coherent relation)把握の能力は、読解能力の要の一つである。本発表では、JSL読解教育のシラバスと教育法を提案するための1ステップとして、このcoherent relation把握能力育成に焦点を当てた。まず、テクスト言語学と文章論から、習得すべき文・段落間の論理関係と文章構造知識の学習項目の試案を提示する。その枠組みをもとに、読む技能の教育を明示的に編集方針に掲げた中級レベルの3種の日本語教科書について、指導項目と指導方法を調査した結果を報告する。そして、教育にあたっての問題点と教育現場への適用法を提案する。


【研究発表2】

「読み合い語り合う,読書活動を取り入れたリ−ディングの授業」
水野 邦太郎 (慶応大学 SFC 研究所上席所員)

 入試英語から開放された大学生たちに「“Reading for Pleasure”を味わって欲しい」という願いを込めて,Interactive Reading Community(IRC)というプロジェクトを2000年に立ち上げて実践してきました.学生たちは,IRCのために用意された2000冊の本から,自分が興味のある本を借りて,週に一冊のペースで読み,今週読んだ本の紹介を教室で5人くらいのグループをつくって紹介し合っています(使用言語は日本語).
 さらに,読んだ本の書評を IRC のサイト http://irc.crew.sfc.keio.ac.jp/irc/top.do に投稿しています(使用言語は日本語).IRC に,外国語としての日本語を学ばれている方々が「参加」して,様々な本のテーマについて語り合い,「日本語力」を高めるとともに,自らの人間観・自然観・社会観を豊かにしていって欲しいと願っています.“IRC”という「実践共同体への参加」へ,皆さんを誘ってみたいと思います.


第2言語習得研究会(関東地区)
http://jsl2.li.ocha.ac.jp/SLAken/sla.html
e-mail: sla@cc.ocha.ac.jp